綺桜の舞う
「辛くない?」
「うん」
「目立って痛いとことか」
「ない」
「ん。なんか食べにいくか」
「うん」


とは言っても、食べ物にありつけるか、と言うところからなんだけど。


「おはようございます、叶奏様、湊様」


食堂に行くと、ずっとお世話をしてくれている渡辺さんが。


「おはようございます」
「おはようございます」
「お食事はどうなさいますか?」
「軽くいただきたいです」


遅れてしまってすみません、と呟く叶奏。


すぐさま出てくる食事。
こんなに至れり尽くせり、いいのだろうか。


「みんなはどうしていますか?」
「予定通りにお食事にいらっしゃって、食後は、夕様以外は海へ。夕様はお部屋で寝るとおっしゃっておりました」
「そうですか……ありがとうございます」
「はい、それと。午後に雪兎様があんず様を連れて合流なさるそうです」
「あんず?」
「はい、叶奏様が怪我をしたと聞いたらしく」
「あらー……」
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