綺桜の舞う
◇ ◇ ◇


夜中、目が覚めると隣に叶奏はいなかった。
そのかわりさーっと部屋の中に風が流れていて、部屋の窓が開いていることに気づく。
……そういえば、ここもバルコニーあったっけか。


俺は起き上がって、窓の方に行く。
案の定、叶奏はそこに立っていて。


「……叶奏、何してんの」
「へ……あぁ、起こしちゃった?ごめんね」
「いいけど……寝れない?」
「……ちょっと、考え事」


叶奏は髪を耳にかけて腕を柵にかける。


「何考えてた?」
「……覚えてない2年間に、何があったんだろーなって」
「あぁ、そのこと」
「鬼王の、総長さんに言われたじゃん?動きが組の人間だって。でも、家が組なんて事実ないし、私、何したんだろうって」
「……」


叶奏の横顔は寂しそうに海を眺めていて。
瞳に映る海も、空もキラキラと輝いていた。
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