綺桜の舞う
スマホの画面に映る文字列。
夜桜が疾走した2年前頃に立ち上がったスレッド。
最後の投稿は3ヶ月前、そこでこのスレッドは凍結されている。
俺がこうして、このスレッドを見れているのは、うちのハッカーが有能だから。


「で、君はその、総長、と?」


俺の隣でにっこり笑顔を浮かべる総長、結城伊織。


「そう、みたいですよ?」


その正面のソファに座って、寒そうに手を擦る美少女。
長い黒髪を揺らしながら、上目がちにじーっと伊織のことを見つめている。


「んー。それは知らなかった」
「私はみなさんが綺龍だってちゃんと知ってましたよ」


にっこりと微笑む、女。
俺たちと同じ学校に通う、姫野叶奏。
校内1と謳われるほどの容姿を持つ、鬱陶しいくらいに顔の整った女。
違いなく、モテる。


「ふーん。そっか。一応それを信じることにするけど。
……本日いらっしゃった、用件は何かな?」
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