綺桜の舞う
伊織は陽向の頭を撫でて膝の上に乗せる。


「ていうか、雪兎、彼女作らないって言ってなかったっけ」
「……沙彩の存在抹消してカウントしないつもりだったんだけど。別に、お互い慰めてただけだし」
「……なに、お互いって」
「沙彩は陽向に捨てられてできた穴埋め。
俺は普段すり減らしてる精神の回復」
「……なにしたの」
「……まぁ、軽く言ったらセフレだよね」


一応、ちゃんとは付き合ってたけど……とどんどん空気が悪くなる部屋。
そして最終的に。


「あーあ、死んだ」


陽向、俺のベッドで小さく丸くなって、病む。


「でもまぁ、沙彩は陽向が戻ってきて幸せそう、だけど」
「雪兎は〜?」


伊織は、お酒を飲みながら、どーなん?と聞く。


「別に、俺今誰も……」
「あれだよ、ユキは今1人女いるから」
「……いないから」


その間はいるな、おい。


「いるじゃん。一個下のさ」
「え、ほんと言わないで。マジで」
< 211 / 485 >

この作品をシェア

pagetop