綺桜の舞う
と、そんな話をしている時。


コンコンコン、と部屋がノックされる。


「はーい」
「湊くんにお届けなんですけど〜」


ガチャリと部屋が開いて、有村の背中には力の抜けた叶奏が。


「どした?」
「……まさか、悪酔い?」


部屋の奥の方から、雪兎の声。
怯えたような、修羅場を見たような。


「そのまさかですー。どーぞ、湊くんに叶奏を献上します。ちなみに悪酔状態の叶奏は満足するまで寝ません!では!」


有村は俺に叶奏を押し付けて、颯爽とさっていく。
バタンっと締められたドアの音にん、と起き上がる叶奏。


「叶奏?酔ってる?」
「……ん?」
「大丈夫?水飲む?……んっ!?」


叶奏は嬉しそうに笑って、突然、俺にキスをする。


「ん〜……湊くん、」


トロン、とした目で、俺の首に手を回して、何回も。
いやもう、酔いすぎだろ。……酒の味する。
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