綺桜の舞う
「はい。大体下にいる時は夕さんと一緒に並んでその隅に座って夕さんが寝落ちしたくらいにスマホを触り始めます」
「……なんか可愛いね」


喧しいわ。


「副総長お母さんっすよ!俺らがバカして帰ってきても手当てしてくれるし、ご飯恵んでくれるし!
静かに俺らのことを見てくれてます」
「お前ら、ペラペラとそんな話しなくていい」


下っ端のやつらを今度は俺が制す。


姫野にいろんなこと話してもろくなことにならない。
既にニヤニヤしまくりの姫野にこれ以上何かされたら困る。


「えっ、でもお二人って付き合ってるんじゃないんですか?」
「は?誰がそんなこと言った?」
「総長が……」
「ったく、あいつ……。付き合ってねぇよ」


と、言い切ってから気づく。
昼間の伊織の話。


チラリと姫野に視線を移すと、みんなの方を向いていつも通りにニコニコ笑顔。
急に半狂乱になって怒る、とかはなさそう。
流石にそこは普通の人か。
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