綺桜の舞う
26.裏切りの香り
9:15。
スマホのロック画面を見つめて、待ち合わせ過ぎてるなー、とぼんやり思う。
いつものことだからそれ以上のことは一切思わないけど、こんな落ち着かない部屋に9時集合、とか言ったのは向こう。
……待ち合わせの30分前からいる俺がアホらしいなぁ、なんて。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
ドアが開くのと同時に真っ白な髪が見えた。
上がった息、汗ばんだ額に、えへへ、と愛想笑い。
「ほんとだよ、そっちが9時って言ったくせに」
俺はベッドから立ち上がって、後ろ手に扉を閉めた女の子、琥珀の前に立つ。
白のニットに小豆色のショートパンツなんて、夜道を歩くには狙い過ぎている格好で、こんなところにやってきたらしい。
「なんか、いつもより誘ってる?」
「へっ!?ちがっ、これは……っ」
薫風くんの趣味で……と呟く琥珀。
……俺のことホテル呼んでおいて、他の男の好みに合わせてくるとかどういう考えしてるんだろ。不思議すぎる。
スマホのロック画面を見つめて、待ち合わせ過ぎてるなー、とぼんやり思う。
いつものことだからそれ以上のことは一切思わないけど、こんな落ち着かない部屋に9時集合、とか言ったのは向こう。
……待ち合わせの30分前からいる俺がアホらしいなぁ、なんて。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
ドアが開くのと同時に真っ白な髪が見えた。
上がった息、汗ばんだ額に、えへへ、と愛想笑い。
「ほんとだよ、そっちが9時って言ったくせに」
俺はベッドから立ち上がって、後ろ手に扉を閉めた女の子、琥珀の前に立つ。
白のニットに小豆色のショートパンツなんて、夜道を歩くには狙い過ぎている格好で、こんなところにやってきたらしい。
「なんか、いつもより誘ってる?」
「へっ!?ちがっ、これは……っ」
薫風くんの趣味で……と呟く琥珀。
……俺のことホテル呼んでおいて、他の男の好みに合わせてくるとかどういう考えしてるんだろ。不思議すぎる。