綺桜の舞う
と、にっこり。
既に陽向からの制裁はしっかり受けたらしい雪兎は、それでも目の敵にされている。


「雪兎のこと、早めに忘れてもらって、僕不安になっちゃうから」


陽向はそう言って、さっきの涙なんてなかったみたいに私にキスを落とした。


……これで、いいのか。
いや、多分いいんだと思う。
陽向の機嫌がいいから。
許して、もらえた……?


「ひ、なた……」
「ん?」
「ごめんね、あの、ありがと……」


陽向は私の顔を見て少しびっくりした顔をしてにっこり笑う。


「沙彩ちゃん、かわいいね。そういうとこ好き」


陽向は、いつも通りリップ音を部屋に響かせて、電気を消した。
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