綺桜の舞う



夜桜に……スパイ?
待て……え、じゃあ。
あの抗争は……。


嫌な予感が頭をよぎる。
夜桜を崩壊に陥れたあの抗争は、もしかしてこいつらが。


「スパイって、いつから?」
「え、知らない。
ボクが来たときにはもういなかったし」
「……君、いつからいるの?」
「へ?」
「族に、いつからいるの?」
「……去年の冬くらい」


……じゃあ、知らないか。知ってるはずない、か。



……なんだろう、何か。


「……ねぇ、君、名前は?」
「へ……こ、琥珀」
「ん、琥珀。そーゆーこと、したことある?」
「へ!?……な、何、急に……」
「いや、ただで助けてもらおうとか、思ってないよね、って思って」


俺は琥珀をベッドに押し倒す。
ベッドに綺麗に広がった黒髪。
無駄に色気を感じる。
中学生に手を出すなんて少し気がひけるけど。
……言っちゃえば去年まで俺だって中学生だったわけだしね。
< 264 / 485 >

この作品をシェア

pagetop