綺桜の舞う
「……っ、起きた?」
「うん……腰痛い」
「あぁ、ごめん。意識ぶっ飛んでもらいたかったから」
「……うん。ボク、ウソついてなかったでしょ?」
「みたいだね」


暴走族に絡んでるだけあって、流石に察しが早い。
それにこいつ。


「……逃げ出したら死ぬほど探されんでしょ」
「パパ、心配性だからね」
「金に物言わせる奴らってわりと怖いから、気つけなよ」


ガチのお嬢様だ。


「ボク、いいんだよ。家柄とか興味ない。
ボクは自由に生きたい」
「自由でも不自由でも人間は生きていけるよ」


俺がこうやって生きてるわけだし。


「……自由が欲しいって思ってて、いざ自由になれば何すればいいかわかんなくなるんだと思う。
でも、それが、幸せだって感じるんだよ、ボクは」


……。


「……ねぇ」
「ん?」
「スパイするくらいの度胸、ある?」
「ボクのこと、助けてくれるって約束してくれるなら。君の利益だって、ボクは保証するよ」
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