綺桜の舞う
中学生のくせに、達観しすぎでしょ、ほんとに。


「香村雪兎、夜桜幹部」
「……そ、か」
「そっちの姫の名前、何がなんでも引き出してきて。
それと、でかい抗争、あったでしょ。あれの引き金がお前らの可能性が高い。ソース、探してきて」
「時間、かかるよ」
「琥珀が我慢できる間は頑張って。
あとは俺が、どうにかする」


どうにかする、なんて言ったけど。
俺に何ができるかなんてわかんないし。
だからって、約束できないことの契約は成立しない。


「あと、身体の慰めが必要なときは呼んで。
いつでも暇だから」
「……」


琥珀は俺が無言で差し出した紙を受け取った。
優しい顔で、それを見つめて、握りしめる。



「……じゃあ、慰めて欲しい。ボクのこと」
「腰痛いんじゃないの?」
「だから、慰めて。優しくして欲しい」


琥珀はそう言ってベッドに座る俺に裸で抱きついてくる。
……ほんっとこの子は。
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