綺桜の舞う
「琥珀の男は、きっと琥珀に余計なこと教え込んでるね」
「……そんなことないよ、初めてだもん」
「…………ねぇ、ほんと。ヤってると思うじゃん」
「あの人ずっと忙しくて、ボクとあんまり時間合わないから、そう言う暇なかったんだよ」
「じゃあなんでそんな嫌なわけ」
「……暴力、とか。おとりに使われたり、とか」


琥珀は俺のシャツのボタンに手をかける。


「……ボクのこと、慰めて欲しい」
「俺、優しくすんの苦手だよ?」
「優しくしてくれなきゃ困る」


出会い、なんていいものじゃない。
不純すぎるし、馬鹿馬鹿しい。
俺だってこんなことになると思ってなかったし。
ましてや好きになるとか、ほんとに思ってなかったわけだし。


それに。
< 268 / 485 >

この作品をシェア

pagetop