綺桜の舞う
「学校では、やめよ、ね?」
「じゃあ誘ってくれる?今週中ね」
「わ、わかったから……今週中には……」
「ん、絶対」


チラリと時計を見る。
気づくとあと5分。


「俺行くね」
「……お気をつけて」
「ん、じゃあね」


俺は教室を出て、足元を見る。


「趣味悪くない?盗み聞きとか」
「ユッキーがデレてるところ気になっちゃって」
「せめてスリッパ床に掠めるのもやめて欲しかったとこだけどね」
「デレデレだね?」
「……好きだと、こんなもんだと思う」
「ユッキーかーわいっ」
「うるさい。はやくいくよ」
「ん、ゴーゴー!」


伊織は陽気に俺の手を引いて、歩き出す。
カップルか。


……いや、陽向もよく手繋いでるな。
昔はそんなことなかったけど。
綺龍の風習かな?


どっちにしろ。


「マジ録音だけは消しといてよ」
「あ、なんだ、バレてた?」
「ほんとに怒るからな」
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