綺桜の舞う
33.知らない空間
「かんぱーいっ」


始まって早々、テンションマックスの女子勢。


目的も理由もよく分からずに始まった宴会ではあるが、まぁみんなやけに楽しそうだ。
明日は休みともあって、集まった人数がエグい。


俺は女子の輪に近づく。
うちの面子の数少ない女子と、夜桜の幹部面子。
もちろんそこには叶奏も座っていて。
またもや同じことをしようとする叶奏の手から缶チューハイを奪う。


「……今日はお願いだからやめて」
「なんで……」
「人多いから!」


綺龍の倉庫。下の階。
今日は空いてる夜桜のメンツも片っ端から来てるから、叶奏に悪酔いされると誰かが公開処刑になる。
俺はまっぴらごめんだし、俺以外がターゲットになったらその瞬間にそいつ殺す自信あるし。


「今日はダメ」
「……ちょっとだけ」
「ダメ」
「……うぅ」


泣きそうな顔をする叶奏。
これだけはほんとに許さない。
そもそも酒弱いのになんで飲む気になるんだよ。
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