綺桜の舞う
「叶奏、湊くんのこと好き?」


俺たちの方へ歩み寄ってきて、にっこりと笑う、叶奏に酒を渡した張本人。


「すき〜。もう死んでもいいくらい好き」
「死ぬな」
「湊くんがそういうなら死なない〜」


あーあ、もう、ダメだこいつ。
ほんとに酔っ払い。
数秒後には爆睡。


「……酔わせすぎだろ」
「叶奏が飲みたいって言ったんだよ?」


酒飲んだら色気増し増しな男、雪兎。
どこからの色気かはわからん。
ただ、伊織と同じ系統の人間なんだろうな、と。


「湊くんは飲まないの?」
「俺はいい。酒弱いから」
「そなの?意外だね?」
「すぐ顔赤くなる」
「あらら〜、可愛いじゃん」
「うっせ……」


雪兎はすぐに夜桜のちっちゃい子に呼ばれて、酒が開きまくりの席に引きずられていった。


「……叶奏、風邪ひくけど。帰る?」
「ん……ぅ」
「ん?」
「おさけ……」
「いーよ、誰かがどーせ飲むから」
「ん……のみたい」
「だめ。眠いんなら帰ろ。俺も眠い」
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