綺桜の舞う
未だに、叶奏は頑張り屋なだけで、総長としての器には足りてないように見える。
俺がこんなこと言うのはどうなのかって感じだけども。


三時間のみっちり練習後、解散ってことになって、俺たちはスタジオの人たちに頭を下げて倉庫に向かった。


「今日はお家じゃないの?」
「あぁ……詳しいことは後で言うから、あんま探んないで」
「ふーん。まぁ……湊くんは隠し事ヘタクソだからね」
「わかってんなら」


走り始めて5分。
早くも背後に気配を感じる。
それは多分、叶奏も気付いてる。


ただし。
今日の俺は、残念ながら調子が良くない。
叶奏には言ってないけど、先週ぐらいから1種類、薬が突然効かなくなって今新しいのを探しているところ。


おかげでいつもより調子が良くない。
体をガッツリ動かせるような感じではない。


「叶奏、俺もしかしたら今日は無理かも」
「湊くんはいつも無理だよ?」


あ、そうだった。
そういえば。
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