綺桜の舞う
「どうしたいですか?」
「戦力、削れたら嬉しいんですよね」
「一度負けてますけど、大丈夫です?」
「今回は、一対一、なんて約束ないので。
数の暴力が有効ですね」


にっこり笑う男の後ろには10人ちょっと。
流石に劣勢か。


叶奏が総長で激強、だから忘れてるかもだけど。
叶奏は人を殴るのは嫌いで。
……ほんと、俺って使えない。


「んー、どうしよう、湊くん」
「……俺にあの男は無理。……けど、他ならできないこともないと思う」
「…………喧嘩、できたっけ?」
「一応、副総長してるから。多分、叶奏ほど強くないけど」


俺はブレザーを脱ぐ。
不安しかないけど。
多分これ下手したらぶっ倒れるかもだけど。


「……任せて大丈夫?」
「白いのは頼んだ」
「気をつけてね」
「叶奏も」


叶奏は白い頭を引きつける。


「叶奏さんのお付き合いしてる方っていうのはそちらの方?」
「そうですね。……好きなんですよ、無愛想な人」
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