綺桜の舞う
「攻撃、してこなくていいんですか?」
「……っ」


俺がこいつを倒さなきゃ。


俺はまっすぐ、男に拳を突っ込む。
当たらない。
交わされた、というか、当たり前みたいに受け止められた、というか。


「拳は苦手ですか?あなたの武器は足ですもんね」
「……どこ情報だよ」
「さぁ?どこでしょうか」


キケンな、匂い。


「まぁ俺は、組の人間なので」


すぅっと、冷たい風が吹く。
肌に刺さる、頭に刺さる、体に刺さる、心に刺さる。


記憶に、突き刺さる。


「……俺は、お前が思ってるほど、弱くねぇよ」
「知ってますよ」


俺は壁を蹴って反動で足から男に突っ込む。
がしかし、交わされて向こうからの回し蹴り。
俺はしゃがみ込んで、後ろへ飛び退く。体制を立て直す間も無く、俺は近づいてくる男の足を払う。


スピードは、俺の方が上らしい。


がしかし、向こうも体制の立て直しも早い。
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