綺桜の舞う
「少し、なめてました。もう少し、落ちてるだろうって話だったので」
「……人殺せるんじゃねーの」
「その殺気は、そうですね?」


にっこり笑う白髪。
バカみたいなスピードの拳。
一撃一撃が重い。


「言っときますけど、薫風さんはもっと強いですよ?」


聞き馴染みのある名前。
もう、関わらないと思っていた。


「……っ、薫風って……」
「きっと、その薫風さんですね」



『湊!俺、ここ出ることになった!』


あいつの笑顔が浮かぶ。記憶の中の一番新しい笑顔。
最後の日は、泣きじゃくってたから。


族作るって言った伊織にしろ、今こうして黒幕みたいに登場した薫風にしろ、



「ったく、どいつもこいつも、バカばっかじゃねぇか」


俺は心底、突拍子もない奴らに囲まれていると感じる。


俺は素早く白髪の懐に入って腹を蹴り上げる。
あばらが3本くらい、いかれた音。
< 311 / 485 >

この作品をシェア

pagetop