綺桜の舞う
「ちょっとだけ、抜けれる?」
「……ちょっとなら」


俺は教室を振り返りつつ、いそいそとその場を離れる。
叶奏と一緒に来たのは人通りの少ない、校舎の一番端の一階の階段。
の下の、暗いところ。


「なんかあった?」
「ん……寂し、くて?」


最近はいつ誰に何があってもいいように、家に帰る時間を惜しんでずっと夜桜や綺龍倉庫に寝泊まりしてる叶奏。
桐生の倉庫に泊まるときは俺もそれに付き合って2人で伊織の総長室借りてたりするんだけど。


気を張ってるのもあり、他人様のベッドってこともあり、いつもベッドに入って30秒で無言になる俺たち。
どうやら寂しいらしい。


「……キスマ付けたら、怒る?」
「怒る。明日も学校」
「うぅ……最近、モテてるでしょ……?」


『昨日のお昼と、一昨日の朝』なんて、正確に俺が告白されたタイミングをあげるくらいだからだいぶ監視されているらしい。


「別に、叶奏以外興味ないんだけど」
「……心配なっちゃう」
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