綺桜の舞う
ま、一回だけ、俺の姉貴が起こしに行った時はなんの反応もなかったところを見たら、好きな女の匂いにしか反応しないみたいだけど。
……心配だから姫野は連れては行かなかった。



ポケットのスマホが鳴ったのに気づいて、手を突っ込む伊織。
スマホの画面を見てまずニヤけたことで相手が女だと確信した。


「あー……放課後かぁ〜……無理だなー」
「そうだな」
「ちぇーっ、縁がなかったということで」


伊織は連絡を返すと、スマホをしまった。


「そろそろ授業始まるよ〜」
「帰るか」


伊織の隣に立ち上がると、俺たちは中庭から出た。


教室にのんびり帰っていると、立ちはだかる女子たち。


「あのっ、立花くん!!」
「……あ、俺?」
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