綺桜の舞う
「どこか行きたいとこは?」
「んん……私のシフトまで1時間くらいしかないから、なんか食べときたいな〜……」


叶奏は俺の手をムギュムギュと握りながら教室を覗いて歩く。


「あっ、唐揚げ!」
「並ぶ?」
「うん」


叶奏は意気揚々と最後尾へ。


イベントごと、ってこともあって。
バチバチメイク、髪はくるくるだし。
クラスの出し物もあってか、異装届けを出したらしく、がっつり髪の毛の色が茶色。
1日染めだから、今日は髪触らないでって言われた。


これあれだよなぁ。
倉庫帰ったら落とすの手伝ってって言われんだよな、きっと。


……ていうか。


「人につけといて、自分がつけられたキスマ消すのはどうかと思う」
「……だって人前に立つのに……恥ずかしいもん」


叶奏はむぅっと口を尖らせて、首の辺りを触る。
ポニテさせないために、髪の毛下ろしたら見えない位置につけたのに。消されたら意味ね。
< 320 / 485 >

この作品をシェア

pagetop