綺桜の舞う
教室の前で叶奏をあやす俺。
叶奏たちの控え室であるここはすでに有村も伊織も出番待ち。


「……何したらこんなことになったの?」
「雪兎のせい」


俺は人に罪をなすりつけて椅子の上に叶奏を下ろす。


「雪兎?……あぁ、お化け屋敷入ったの?馬鹿だね」


有村は鼻で笑うと、叶奏の子守を始める。


「はい、叶奏。ちゃんと出番こなしてご盛況だったら、湊くんがイチャイチャしてくれるって」
「……本当?」


なんでそれで涙止まる?
なぁ、叶奏。流石にそれはどうかと思う。
そんな反応されたら、そんな顔されたら。


「……どうだろな」


そうするしかなくね?







結果から言うと、叶奏はガッツリ舞台を沸かせて帰ってきた。
ドラムは結局譜面が読みきれなくて、俺が叩いてコピーしていたけど、上手いことには変わりはないし。
歌に関しては上手いし、声綺麗だし、技術面もさながらプロで、出番終わりのチェキ会が終わらなかった。
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