綺桜の舞う
で、現在。


「……何そのかっこ」


俺の目の前には、アリス服を着た叶奏が。


文化祭の軽い後片付けの時間。
使われていない空き教室に呼ばれたと思って行ってみたら、何故かコスプレ。


「湊くんが似合うって言ってくれたから借りてきたアリス」


どうかな?とくるっと回る叶奏。
どうしてそんなに嬉しそうなのか。


……いや、かわいいけど。


「え、何?襲っていいの?」
「いや、ダメでしょ」


それは違う、って顔で俺のことを見つめる叶奏。
いや、でもこのタイミングでその格好はそう言うことじゃないの?


俺割と妬いたけど。
どさくさに紛れて男どもがツーショット撮ってたりしてまじでイライラしてるんだけど、俺は。


……早く、家帰りたい。


「はぁぁぁ……」
「えっ、湊くん?」


俺がため息をついてしゃがみ込むと、パタパタと駆け寄ってくる足音。
頭を抱える俺の顔を心配そうに覗き込む。
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