綺桜の舞う
私は下に視線を移す。
湊くんと、視線が絡んだ。
「叶奏!」
「湊くんっ」
私は柵に乗り出すようにして、湊くんの名前を呼ぶ。
「総長はいろいろあって顔が出せないので、ボクが指示を出させてもらいます」
夏の抗争の時、聞いた声。
視界に入るのは黒髪ロング。
あれは……もともと白かったあの子だ。
「───全員、殲滅」
凛とした声で、白装束に身を包んだ彼女は、抗争始まりの合図を出した。
『夜桜、全員殲滅』
……何かが、記憶を掠める。
耳鳴りが頭の奥で響いて、動けない。
思考が止まる。
拳がぶつかる音。
私の、苦手な音。
骨の折れる音やら内臓が潰れる音やらが耳につんざく。
……記憶がある。
あの時の抗争の、記憶が、私の頭の中に流れ込む。
あの時も夜桜はこの倉庫に、来て。
私も、ここにいて。
………あぁ、私、もしかして。
───思い出したかもしれない。
湊くんと、視線が絡んだ。
「叶奏!」
「湊くんっ」
私は柵に乗り出すようにして、湊くんの名前を呼ぶ。
「総長はいろいろあって顔が出せないので、ボクが指示を出させてもらいます」
夏の抗争の時、聞いた声。
視界に入るのは黒髪ロング。
あれは……もともと白かったあの子だ。
「───全員、殲滅」
凛とした声で、白装束に身を包んだ彼女は、抗争始まりの合図を出した。
『夜桜、全員殲滅』
……何かが、記憶を掠める。
耳鳴りが頭の奥で響いて、動けない。
思考が止まる。
拳がぶつかる音。
私の、苦手な音。
骨の折れる音やら内臓が潰れる音やらが耳につんざく。
……記憶がある。
あの時の抗争の、記憶が、私の頭の中に流れ込む。
あの時も夜桜はこの倉庫に、来て。
私も、ここにいて。
………あぁ、私、もしかして。
───思い出したかもしれない。