綺桜の舞う
6.好きな度合い
「よーよー、君の後ろにいるのが、夜桜の姫様?」


……早速、だな。


「み、湊くん……」


俺の後ろで不安そうに周りを見渡す姫野。


学校からの帰り、俺と伊織はいつも通り前後並走して倉庫まで向かっていたんだけども。
後ろに族のバイクの気配がして二手に分かれた。
感じた気配と今視界に入っているバイクの数的に、全員、俺たちの方に来てしまったらしい。
囲まれて、バイクを止めるしかない状況。


向こうの口振り的に、どうやら姫野のことを総長ではなく姫だと思っているらしい。
流石に想定外の、いい勘違いだ。


……いや、姫野は予想してた可能性はあるけど。


「ったく……」


戦力がほぼ皆無な俺たちに……いや、皆無ってわけでもないんだけど。


「とりあえず、伊織に連絡して」
「う、うんっ」


姫野はポケットからスマホを取り出して慌てて伊織に連絡する。
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