綺桜の舞う
別に、ボクがこうやってハキハキ喋るのは、仕事だと、思ってるからで、本来はユキの前で出してるあの自己肯定感ゼロな雰囲気。
自分でも、ここまで変わると流石に。


……血は争えないなって。


「あのさ」


話が終わった後、叶奏ちゃんはボクのことをじっと見つめて、呟いた。
あの優しい笑みはない。
無表情に光の入らない瞳で、ボクのことをとらえた。


「なんですか」
「一応、そっちの総長に伝えといて。……あなたのこと好きじゃないですって」
「どういうことですか」
「そのまま伝えてくれたらいいから。詮索しないで」
「……わかりました」


やけに。怖い。
唐突に凍りついた空間に、背中に緊張が走る。


「とにかくボクからは以上なので」
「ん、りょーかいでーす」


叶奏ちゃんはさっきの雰囲気とは打って変わって、軽い雰囲気。
この雰囲気の作り方が、どうしようもなく怖い。
触れてはならない禁忌な気がする。




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