綺桜の舞う
「こんにちは〜」
「早かったですね、まぁ、頭の回転が速いとあんなところに誰も残しませんよね」


聞き覚えのある、鼻声に迎え入れられる。


「なーに、まだ陽向のこと根に持ってんの?」
「まあ。そういうことにしときますか?
刃牙の傘下って言ったら、この抗争に参加する理由になりますかね?」
「あー、それは十分だね。
ちなみに、叶奏ちゃんはどこにいる?」
「叶奏さんですか。最上階で、総長とイチャコラしてんじゃないですか?あの人たちの関係、俺にはわかんないので知らないですけど」
「あの2人に、何か関係あるのかな?」
「え?そもそも、叶奏さんは刃牙の姫様なのでそりゃ」


今日何度目かの、空間が凍てつくターン。


「……は、?」


誰が発したかわからない、掠れた言葉。


「あれ、叶奏さんから聞かされてません?
まぁあの人隠すの上手いですからね」


伊織は目だけで俺を振り返る。


「気づいてた?」
「……うっすら。昨日に」
< 381 / 485 >

この作品をシェア

pagetop