綺桜の舞う
「一応聞くけど、叶奏ちゃん連れ戻す気は?」
「絶対連れて帰るよ」
「ん、だよね。知ってた」
伊織は敵に向き直して、何かを思考した後、大きな声で、
「司令塔陽向、補佐沙彩ちゃん、残る半分でここ制圧して。
他は上上がるよ」
「りょーかい!足止め頑張るよ!」
いつものポップなノリで瞬時に階段までの道を有村と一掃する陽向。
俺たちはその恩恵を受けながら上の階に向かった。
……不安じゃない、なんて言ったら嘘になる。
好きな分、いなくなると困る分、叶奏が本当に向こう側の人間だと、そういう意思を持っているならば、俺はどうすればいいかわからないし、何をしでかすかわからない。
握った拳が汗で滲む。
階段を上がり切った2階、しっかり階層ごとに足止めを用意してくるのは本当に鬱陶しい。
「伊織、ここは俺が残るから。上がって」
後方から雪兎の声、振り返ると真剣な顔、雪兎の視線の先には、
「絶対連れて帰るよ」
「ん、だよね。知ってた」
伊織は敵に向き直して、何かを思考した後、大きな声で、
「司令塔陽向、補佐沙彩ちゃん、残る半分でここ制圧して。
他は上上がるよ」
「りょーかい!足止め頑張るよ!」
いつものポップなノリで瞬時に階段までの道を有村と一掃する陽向。
俺たちはその恩恵を受けながら上の階に向かった。
……不安じゃない、なんて言ったら嘘になる。
好きな分、いなくなると困る分、叶奏が本当に向こう側の人間だと、そういう意思を持っているならば、俺はどうすればいいかわからないし、何をしでかすかわからない。
握った拳が汗で滲む。
階段を上がり切った2階、しっかり階層ごとに足止めを用意してくるのは本当に鬱陶しい。
「伊織、ここは俺が残るから。上がって」
後方から雪兎の声、振り返ると真剣な顔、雪兎の視線の先には、