綺桜の舞う
……叶奏と接触していたあの女。


「んー……」


伊織は困った顔。


「……いーよ、俺も残るわ」
「伊織は上の方がいいでしょ」
「いや、叶奏ちゃん連れて帰るのは湊だけでいいんだよ」
「でも、戦力が……」
「湊のこと、舐めない方がいいよ。……いけるよね?湊」


圧。
伊織がこういうことするときは基本自分の意思を突き通そうとするとき。
他人のためであろうと自分のためであろうと、そんなことに関わらず、圧力だけで突き通してくる。


「……お前、何がしたいんだよ」
「俺は、湊のこと信用してる。……けど、巻き添え食らって死にたくないから」
「なんだよ、俺、そんな特殊能力使わねぇっての」


いつも通り、キラッキラの笑みを浮かべる伊織は、少し俺から目を逸らす。


「……あんずちゃんと、約束したんだよね」
「何を」
< 383 / 485 >

この作品をシェア

pagetop