綺桜の舞う
でも、朔に出会って、人生棒に振ってでも、命投げ打ってでも朔を守りたいって思った。


叶奏が記憶を取り戻した日、蛍は決めた。
蛍の帰る場所はなくなっちゃうけど、だけど、朔を守るって決めた。


薫風に末端の撹乱部隊を作るって言われた。
伊織くんも朔も、戦略の傾向は似ていたから、末端になんか人数残さないのをわかってたし、残った人間もすぐに倒して、戻っていくんだって思ってた。


それじゃダメだった。あの抗争の戦禍に降りたら、無事じゃ帰れない。特に朔は、組の人間とかじゃないし、荒削りのヤンキーの喧嘩で、無事に戻れるはずなかった。


だから蛍は、率先して末端部隊の司令塔を引き受けて、少し強い子たちを大量に引き抜いてここにきた。
綺桜陣営の残ったメンバーは全員ここで殲滅して、朔も蛍が倒して、向かわせないつもりだった。


……なのに、朔は倒れてくれない。
蛍の気持ちわかってるくせして全部無視して、蛍のこと倒そうとしてきて。


どうして、守らせてくれないの……?」


朔はいつもみたいににっこり笑った。
派手な特攻服を着た異質な蛍を愛おしげに見つめて蛍の涙に触れる。
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