綺桜の舞う
43.君の背中
刃牙、倉庫、一階。
どうにも負けそうにない雑魚と対峙した今、考えることは前に進むことだけ。


「沙彩ちゃん、前まっすぐ進んでいい?」
「ゆっくりならいいよ、カバーできる程度のスピード探して」


3年前の抗争は、防御が甘い陽向の背中を私が守れなかったのが、敗因。
ナチュラルに私と陽向の間を割ったのが蛍だったかどうかは全く記憶にないけれど、とにかくあれさえなければ、叶奏は無事だったし、この3年越しの抗争もなく、笑っていられるはずだった。
陽向も、死ぬなんて言い出さなくて、今頃引退してニコニコしていたはずだった。


唇に力が入る。


今回は前回の抗争より人数が少ない。
こちら側も相手側も。
相手側の勢力は今回の手の込んだ戦略で、蛍によって割かれたんだろうけど。


それにしても、弱い。
前より。


「上、どうなってるかな」
「大丈夫、みーにゃんは叶奏を連れて帰ってくるよ」
「相手は……湊くんの友達なんでしょ?」
「みーにゃん、みくびらない方がいいと思うよ。
……あの子、多分僕より強いから」
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