綺桜の舞う
今までの族なら、いろんなことたくさん調べられて、じゃあ大丈夫、と信用されるまでにすごく時間がかかったのに。
私が夜桜に入ることになったのは陽向と出会って3時間後だった。


どうしてこんなところが強いんだろう、セキュリティもへったくれもないじゃん、なんて思ったのは今でも覚えてる。


私はすぐに陽向のお気に入りになった。
女の子として、とかそう言うのじゃなくて、えっと、例えば幹部候補に指名される、とか。


罪悪感で死にたくなった。
なんの疑いもなく信用してくれる人間はこうやって私を取り囲んでくれるのに、私はちゃんと裏切り者。
スパイとして、ここにいなくちゃいけない。


初めて薫風に、辞めたいと言った。
肋を3本折られた。
怖かった、怖くて怖くてしかたなくて、結局何もできなくて。
ただ愛想笑いだけして、ごめんねって笑って、それでその場は乗り切った。


そして2年の半ば、薫風は抗争の計画を立てた。
私を攫って、刃牙の倉庫に出向かせて返り討ちにする、と、そういう計画だ。
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