綺桜の舞う
「そ、それは……2人で?」
「別に嫌なら2人じゃなくてもいいけど」
「あっ2人でいいです!バイク乗ってくださいっ」
「え、やだ。陽向運転荒いしチビだから怖い。
私が乗せたげるから道案内して」


うっ、どうして僕はこんなにチビなんだ……。
現在159センチ。成長期が来た記憶はない。
うぅ……叶奏ちゃんによると沙彩ちゃんは162センチ。
あと3センチが大きい。


「……普通に、こんなとこにいると思ってなかったんだけど」


ボソッと呟く沙彩ちゃんの視線はスマホに落ちている。


「あぁ……うん」
「死んだのかなって思ってた」
「そのつもりだったよ」
「うん、だよね」


無言が訪れる。



沙彩ちゃんは少し考え事をする様にスマホを唇に当てると、突然顔を上げて僕の方を見る。
何かを言おうと口を開いたんだろうけど、ゆっくりと閉じていく。


「どうしたの?」
「……いや、なにも」


少し震えた声で、僕の顔から目を逸らしてしまう。
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