綺桜の舞う
そして、ワンテンポ遅れて、湊くんが来た方向から足音、ユキと、その手を握る琥珀ちゃん、それから伊織くん。
「ごめん!俺たちじゃ流石に拳銃は対応しきれねぇわ。
連れてきちゃった」
「……エグい敵増やしてんじゃねーよ、どーすんだよこれ。
帰れない」
「そこをどうにかするのが湊だろ、どうにかして。
俺らのとこは片付けて一階に戻らせてる。
ちなみに組関係なら琥珀ちゃんを手に入れました」
いつも通り陽気な伊織くん。
この空間に包まれている時間が、心地良かったことはまだ覚えている。
「……何、組関係って」
「お前と同じ、天馬の令嬢。捨てられたとこまで一緒な」
「……あぁ、異母兄弟って感じ?」
「受け入れるの早くね?」
「金持ち界隈じゃ母親違うけど兄弟です、みたいなの腐るほどあるよ」
「はへぇ、まぁなんでもいいけど、どーにかして欲しい」
湊くんはチラッと、私の顔を見た。
「俺がこの戦いを終わらせる。
それまでに自分の身の振り方考えとけ。俺は叶奏が何選んでも、否定しないから」