綺桜の舞う
嬉しそうに笑う天馬。
本当に、鬱陶しい。


……身体のだるさを意識した瞬間から、やけに身体が重い。
本当に酒なんか飲まなきゃよかった。
薬が効いていない。
ただでさえ最近、効きづらかったのに。


俺が拳を出すと、天馬はスッとかわして、軽いフットワークで足が飛んでくる。
俺はそれを受け流して、天馬と同じように足を叩き込んだ。


互角だった。
当たらないし、当てられない。
お互いスピードは落ちてるし、パワーもかけてる。
こんな泥試合、全盛期の俺ならやらないだろうに。
クソみたいな戦い。


それでも、勝たなきゃいけない。
気づいたら叶奏も下で戦っている。
薫風がやけに隙のない雑な護身術に四苦八苦しているのが見える。


ちゃんと、総長だよ、ほんと。


「俺がここで倒れたら、どうする?」
「逆に聞こう。どうすると思う?」
「俺の予想。懐の予備拳銃取り出して薫風も込みで皆殺し」
「さすが我が息子」
「もう息子じゃねーって」
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