綺桜の舞う
◇ ◇ ◇


「……」


うっすら目を開けると、薬品の匂いがして、病室なんだとすぐに気がついた。


……身体が重いのは、右肩のせいか、持病のせいか。
薬は効いていないのは、なんとなく感じていて。


「……あぁ、起きた?」
「起きた」
「ん、ナースコール押すわ」
「うん」


ベッドのそばに座っていた伊織がナースコールに手を伸ばして、それからじっと俺を見た。


「まぁ、3日経ったな」
「わりと経ってない」
「なんせ銃弾ぶち込まれてるからな〜。一瞬、生死彷徨ってたけど。……生きててよかったよ」
「……あぁ。みんなは?」
「叶奏ちゃんはわりとぴんぴんしてる。

琥珀ちゃんとユッキーは思ってたより重症で全治2週間っつったかな?まぁ退院はしてるから。

陽向と蛍ちゃんはほぼ無傷。陽向のカバーしてた沙彩ちゃんと蛍ちゃんの攻撃をもろに受けた朔はボロボロだったけどね。あと一週間ぐらい入院する予定だって。

俺も琥珀ちゃんとやり合ってボロボロだからあと2週間。

他の奴らは怪我こそしてるけど重傷なのはいない。安心してもらって」
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