綺桜の舞う
……なんで、だろう。
急に。
今まで、そんなの、言ったことなかったのに。




……一緒に、いたくなくなったのか。
飽きちゃった、とか。


「飽きたわけじゃない。
ただ、本来あるべき距離になろうって話」
「……な、んで?一緒にいるの、嫌なの?」


蛍の気持ちを呼んだみたいに言葉を紡いでくれる朔に、結局話の流れについていけない蛍は詰め寄ってしまう。


「違うって。

今回の話、俺も反省した。
いつも一緒にいるから、蛍のこと全部理解してるって慢心してた。
でも、そうじゃないってことも気づいた。

一番近くにいたから、依存しすぎたんだよ、俺たち。
周り見えなくなって、お互いのことしか見てなくて。
他の俺たちに干渉してる要素を見れてなかった。

だから俺は、蛍と叶奏との関係とか、薫風との関わりとか、全く感じ取ることもできなかった。

離れてみて、わかることもあるんじゃないかって思ったんだよ。


……蛍も、もともと家が嫌いだったわけじゃないだろ」
< 461 / 485 >

この作品をシェア

pagetop