綺桜の舞う
ユキはギュッとボクの背中に手を回して、うぅっと死にそうな掠れた声を出す。


「……俺、ちゃんと好き、だから」
「何、急に……?」
「好き、だから……形にしておきたくて。離れてほしく、なくて」
「……形なんてなくたって、離れたりしないよ」


ボクもユキの背中に手回す。
大丈夫だよ、って、そういう気持ち。


「……嫌いになったりしない?」
「しない。もし、嫌いになっても、ボクにはユキだけだと思ってるから、離れる気ない」
「……それは、それでどうなの」
「それぐらいの気持ち」


ボクのことを好きって言ってくれるのはユキだけだから。
ユキはボクを守ってくれた。助けてくれた。
ボクも、ユキを守りたいと思った。
離れたくないって、思った。


ユキと笑っていられる未来が欲しい。


全部、ユキとじゃなきゃ、嫌。


「ユキ、ボクも好きだよ……?」
「……んん、あんまそーゆーの言わないで。一瞬でそういう気持ちなりそう」
「な……」


ナチュラルに押し倒された。
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