綺桜の舞う
マヌケな顔、ユキのそういう顔も嫌いじゃない。
可愛くて、割と好き。


ボクはユキの手に自分の手を重ねた。


「ユキが信じてるものは、ボクも信じられる、気がするから」
「ほんとに、いいの?また危ないことになるかもしれない」
「ボクもう負けないから。ユキと一緒に生きていきたいから、他に惑わされたりしない。
選ぶべきものは知ってる。だから、大丈夫」
「琥珀……」


ユキはボクのことを抱き寄せると、鼻を啜った。


「泣いてるの……?」
「……泣いてない」
「声、震えてるよ?」
「……泣いてない、から。
泣いてないけど……嬉しい」


ユキの腕にはいつもより力が入っていて、そんなに嬉しかったのかなって。
……。


「……ボクも、ユキの大切なお城、行きたい」
「へ……」
「あ、勘違いしないで。族に入りたい、とかじゃなくて……。
叶奏ちゃんと蛍ちゃんにも会いたいし、ユキのこと……もっと知りたい、な……ってえ……っ」
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