綺桜の舞う
俺は少し荒めに琥珀のことを抱き寄せる。


「あ……え、と……受け入れてくれて、ありがとう」
「琥珀こそ、ちゃんと教えてくれてありがとうな」
「……うん」


琥珀は抵抗しなかった。
ただ、俺がまだ受け入れられないから無理、と琥珀のことを引き剥がしたのは雪兎。
割と外野の方が受け入れるのに時間がかかりそうだ。
当の外野、叶奏はと言うと、にこにこ笑顔でよかったね、なんて言っていたけど。


「琥珀ちゃん、私にぎゅーは?」
「あ、え……か、叶奏さん……」
「はい、叶奏さんです。お兄ちゃんの彼女のお願いは聞けますか?」
「き、聞きますっ!というか、その……今日は叶奏さんの安否も含めて……その」
「あ、そうなの?そんなに私のこと心配してくれた?」
「え、と……ボク、たくさん酷いことしちゃって」
「ん?大丈夫大丈夫、終わったことはもう良いんだよ。それより湊くんだけずるい。私とも、ね?」


恐る恐る近づく琥珀に、ぐっと腕を引く叶奏。
ユキのこと大事にしてあげてね、と耳元で呟く。
しっかり琥珀は耳を真っ赤にさせて、コクコクと激しく首を縦に振る。
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