綺桜の舞う
「……ボク……叶奏さんのこと好きです、可愛くて、その……」
「ん〜?私も琥珀ちゃんのこと好きだよ〜。二重人格な感じが他人事だとは思えないね〜」
「……あ、いや、え、と……その」
「わかってる、わかってるよ。たくさん頑張ったの、知ってるから。大丈夫」


お姉さんみたいな顔をして、ゆっくり頭を撫でてあげる叶奏。


2人とも、薫風に関わって、色々経験して苦労してきたことは一緒だから。
……そう思うと、薫風のことは許せない気持ちになる。


ただ。
薫風も結局、ただの天馬の被害者であって。


今回の抗争において、誰が悪いかって言われたときに、薫風だったと、即答できない俺はただの偽善者だろうか。


俺はそんなことを思いながら、2人を視界の端に、チューハイを口にする。


「琥珀ちゃんはユキの何が好き〜?」


10分後、完璧に酔いが回った叶奏が琥珀を膝の上に乗せて向かい合わせのままに、にこにこで話を振る。
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