綺桜の舞う
既に琥珀の回収を諦めた雪兎は少し離れたところで朔や蛍やらと飲んでいて、叶奏のアルハラに呑まれた琥珀の赤い顔は見れていない。


「え、と……は、恥ずかしいです……」
「んん?どこが好きなのかな〜?」


いつもとは違ってキス魔にならなかっただけマシかとは思うけど、絡まれた方は溜まったものじゃない。
ちなみに既に伊織と夕は倉庫の隅で寝ている。


「……ボクとの約束、諦めないでくれたところ」
「約束?」
「その……助けてって、言いました」
「あら〜、ユキはかっこいいねぇ。琥珀ちゃんにだけだよ?私が助けてって言ったら、はよ片付けてベッド入りな、って会話シャットダウンされちゃう」

困った困った、と言いながら顔を仰ぐ叶奏。
ちらり、と琥珀の視線がこちらを向く。


「……叶奏ちゃんは、湊くんのどこが好きですか?」
「んー?クールなふりして、ほんとは激甘なとこ?
ちゅーしてって言ったらしてくれるよ?琥珀ちゃんが言ってもしてくれるんじゃない?」
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