綺桜の舞う
酒が入ってるからって適当なことを抜かす叶奏。
別に妹が好きだからってキスはしない。そんなに兄としては激甘なつもりはない。シスコンにはならない。


「琥珀〜、そろそろ戻ってきてくれないと俺死ぬんだけど」


遠くの方から叫び声。雪兎。
彼女が近くにいないと死ぬらしい。


「やだダメ、琥珀ちゃんは今日は私と湊くんに会いにきてくれたんだから返さない」
「はぁ?ヤダ無理、俺が死ぬ……何?怒るよ?」
「いいじゃん、やってやろうじゃん……まじで回し蹴り一発で決める自信ある」
「……うぜぇ」


お互い足取りがおぼつかないだろうから、そもそも回れるか不安なところがあるけれど。


「ボクも……叶奏ちゃんとお話ししたい」
「……琥珀、早々に俺離れした?」
「ちが、ちがうけど……っ」
「2人の時はあんなに俺にくっついてきてくれるのに」
「そ、そういう話はいらない〜っ」


てれやさんかあいー、と少しずつ呂律の回らない叶奏。
そろそろ俺の思考も危うくなってきた。
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