綺桜の舞う
2.世界一の復活
総長である姫野と、副総長の彼女である夜桜の姫、満島蛍を俺たちの族でしばらく匿ってほしい。
わかりやすくいうと、そういう話だ。


「どうして君も?」
「私、ケンカとかできなくて」
「あっ、そうなんだ。湊と一緒だね?
ケンカできなくてよく夜桜の総長になれたね?」


「あ……できないわけじゃなくてしない、だけと、いいますか……。割と、するんですけど。人を殴ることに結構抵抗があって」
「どうして族なんかに?」
「……さぁ?なんででしょう?」


終始、笑い合う双方を見守るのは隣に座る俺と、ソファの後ろから覗き込む、陽向。
くりくりな目だけを左右に動かして、話の流れを観察している。


「ま、それなりに俺たちに利益があればいいんじゃない?君たちは、俺らにどんな利益をくれるのかな?」


悪びれもなく笑う伊織の目には、嫌味だけが篭っている。
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