綺桜の舞う
んなこと、わかってるよ。
わかってないわけないだろ。


俺は伊織を睨みつける。


「怖いのはわかるけど、ちゃんとしねーと後悔しても俺は知らねーよ」


低い声で、ぼそっと告げられたその言葉には脅しと優しさが両方詰まってるように思った。










で。


「はい、寝とけよー。また見に来てあげるからね〜」


強制連行されました。


「あー……」


しんど。楽しくない。なんでこんな、さ。


……俺去年何してたんだろ。
いや、去年は去年で、朝から姫野の飯作って、夜飯考えながら1日過ごしたっけ……。


夕飯、どうすりゃ良いんだよ。
食べにくんの?来ないの?
……来てよ。


あー……俺、いつの間にこんなに女々しくなってんだろ。


俺はベッドの上でボーッと目を瞑った。
暑い、な。
風邪ひいたかも。


「……姫野」


呟いたところで、返事が返ってくるはずもなく。
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