綺桜の舞う
蛍がポツリと呟く。
いつも通りのか細い声で、通るか通らないかの声量を屋上に落とす。


「あの子のやることは9割、思い通りになる。
だから、総長。喧嘩は下手くそだけど、誰よりも、周りを見るのが上手」


「そうだね〜。叶奏ちゃんは本物だと思うよ。
姿を消しちゃう前の総長が誰かはわからないけど、叶奏ちゃんを選ぶ気持ちはよくわかるね」


コテっと俺の首に頭を傾ける陽向。
優しく笑っているのは、伊織への同意、だろう。


「……」
「とりあえず、叶奏のこと信じよ。
きっと、うまくいく」
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