綺桜の舞う
流れる涙はどんどん地面を黒く染める。


俺が叶奏と2人になるとそれなりにデレることを知っている。
叶奏の記憶がないことも知っている。


……ほぼ、100……だな。


俺は蛍の頭に手を乗せる。


「ありがとう。勇気出してくれて。
……大丈夫だから」
「……うん、うんっ」


成はもう2年近くいる、わりと古株。
次の幹部候補に上がるくらいにしっかりしていて。
……昔っからなのか、寝返ったのか、買収されたのか。


盗聴器がついたのが最近だってところを見ると、後者二つのどちらかであると……あって欲しいと、切実に願う。


「とりあえず、好きなだけ泣いときな。
朔になんか聞かれたら、俺に泣かされたって言っとけ」
「……湊くん、殺されちゃう、よ?」
「それは困る」


1限目65分。泣き続ける蛍の横でただ、座っているだけ。
俺はどうすればいいか分からず、とりあえず叶奏と伊織にだけ連絡しておいた。


そのまま目を腫らした蛍を教室に戻すわけにもいかず、叶奏と相談して3限目の終わりに先に倉庫に行くことになった。




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