綺桜の舞う

母子家庭、安いアパートで3人暮らし、毎日働き詰めのお母さんと、一つ下の妹は受験生。
深夜に帰ってきて、朝早くに家を出ていくお母さんと、塾にも行けず家で必死に勉強する妹。
そんな2人の邪魔をしないように、家には帰らず倉庫で過ごして、学校に隠れてバイト、自分のちょっとの生活費と妹の学費の足しに。


お金が絡むと、家族が絡むと、好きな人が絡むと、人は変わってしまうのを私は知っている気がする。


「……」


成くんは無言で私を攻撃する。
……さっきと、速さが違う、重さが違う。
レベルが違う。
次の幹部候補なだけある。


……流石に、今の私には厳しい。


「総長たち、呼ばないんですか？」
「私、そんなに弱そう？」
「俺に負けそうなところが特に」
「ざーんねん、みんなもう倉庫に帰っちゃった」


ざっと、成くんの足が止まる。
私はその隙を狙って、脇腹に回し蹴り。


「っ、」