綺桜の舞う
勢いよく吹っ飛ぶ成くん。
ふらつきながらも私は着地。床に転がる成くんのお腹に手を置く。


……危なかった。


「大丈夫?」
「……ブラフ、ですか」
「なわけないよ?本当の話。
成くんは綺龍のことが好きだから、本当に裏切るなんてできないから。
だから蛍にヒント出して、自分のSOSにしたんでしょ?」


成くんは顔を歪めて目を瞑る。


「……そういう勘のいいところ、伊織さんに似てます。
……自分の好きな場所が、自分のせいでなくなるなんて、怖くて見てられませんでした」


結局、好きなものに背くのは、心のどこかで罪悪感と嫌悪感が走るし、家族のためのお金ってことに関しては校則違反も裏切りも目的は同じ。
……ちょっと心の弱い優しさが、成くんの悪いところ。


「成くん、どーする?
みんなにごめんなさいする?」
「今更、許してもらおうとか、虫が良すぎじゃないですか」
「そんな虫のいいことが、あの倉庫なら起こるんじゃない?
みんな、仲間思いのいい子でしょ?」
「……」
「成くんは、どうしたい?」
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